【シーズン2開幕】新幹線での最後の思い出と、突然届いた代理人弁護士からの文書

人生

はじめに:平穏という名の薄氷

第1回目の調停が終わり、私と娘との間には「面会交流」という新しい形の日常が始まっていた。 すべてが元通りになったわけではない。それでも、月に2、3回、小学2年生だった娘と会える時間は、当時の私にとって何にも代えがたい救いだった。

今回は、そこから始まった約3年間の日々と、突然訪れた「終わり」、そして再び波乱の幕を開けることになった出来事について書いていこうと思う。ここからが、私の戦いの「シーズン2」だ。

笑顔と、別れ際の「頑張ってね」

調停後の面会交流は、決して特別なことばかりをしていたわけではない。 近くの公園で遊んだり、時には少し足を伸ばして遊園地や動物園に行ったり。そんな、どこにでもいる親子の休日を私たちは不器用になぞっていた。

娘は私に会うといつも無邪気な笑顔を見せてくれた。はしゃぐ声、小さな手から伝わる体温。その瞬間だけは、複雑な大人の事情など存在しないかのように、ただ楽しくて穏やかな時間が流れていた。

しかし、面会交流には必ず「別れ」の時間がやってくる。 帰り際、私はいつも娘をぎゅっと力いっぱい抱きしめた。そして、「頑張ってね」と声をかけるのだ。 小学2年生の小さな背中に、どれほどの荷物を背負わせているのだろうという罪悪感は常にあった。

それでも、次の面会まで彼女が元気で過ごせるようにと祈りを込めて、そう言うしかなかったのだ。

「お父さんも頑張ってね」

その娘の言葉に毎回涙が出た。

車から降りられなかった日

そんな面会交流を続けていたある日のこと。
今でも鮮明に思い出す、胸を抉られるような出来事があった。

いつものように楽しい時間を過ごし、帰り道に車を走らせていた。目的地に到着し、「じゃあね」と別れるはずだった。しかし、その日に限って娘は一向に車から降りようとしなかった。

「どうした?」と声をかける間もなく、娘は私にすがりつくように抱きつき、突然泣きじゃくり始めたのだ。 しゃくりあげるような、小さな体全体から絞り出すような泣き声。いつも「頑張ってね」という私の言葉に頷き、気丈に振る舞っていた彼女の中で、何かが限界を迎えて溢れ出してしまったようだった。

娘が何を思い、何に耐え、なぜその日に感情を爆発させたのか。具体的な言葉はなかった。けれど、その涙の重さは痛いほど伝わってきた。 私は何も言えず、ただその小さな背中をさすりながら、思わず私自身もボロボロと泣いてしまった。

大の大人が、子どもの前で声を上げて泣いた。 ただただ申し訳なくて、愛おしくて、無力だった。

5年生の夏。初めての遠出と、突然の提案

そんな葛藤を抱えながらも、面会交流は3年続いた。娘も2年生から5年生へと成長し、少しずつお姉さんになっていった。

そして迎えた、5年生の夏休み。 面会の日、娘が突然こんなことを言ってきたのだ。

「新幹線に乗って、どこかに行きたいな」

それまで、私たちの面会は車で行ける範囲の近場がほとんどだった。新幹線に乗って遠出をするなんて初めてのことで、「急にどうしたんだろう?」と少し驚いた。 けれど、娘からの積極的な提案が嬉しかったのも事実だ。私は二つ返事で快諾し、私たちは新幹線に乗って初めての小旅行に出かけた。

車窓から流れる景色を二人で眺めながら、駅弁を食べたり、他愛のないおしゃべりをして笑い合ったり。 それは、本当に楽しくて、眩しいくらいに幸せな夏の一日だった。娘も心の底から喜んでいるように見えた。

まさかそれが、「最後の面会交流」になるとは、その時の私は夢にも思っていなかったのだ。

途絶えた連絡、そして届いた重たい封筒

あの新幹線での楽しい夏のお出かけを最後に、パタリと面会交流が途絶えた。 毎月楽しみにしていた日が来ても、会えない。こちらから様子を伺う連絡を入れても、返事はない。電話をかけても繋がらない。

「何かあったのか?」「あの日、無理をさせたのか?」 不安ばかりが募り、どうにかして連絡を取ろうと試みたが、相手方とのコンタクトは完全に遮断されてしまった。まるで、あの夏の日を境に、娘との間に分厚い壁が下りてしまったようだった。

今思えば、あの「新幹線に乗りたい」という娘の提案は、無意識のうちに最後のお願いだったのか、あるいは何かを察知しての行動だったのか……答えはわからない。

何もできないまま時間だけが過ぎていったある日。 自宅のポストに、見覚えのある、決して見たくなかった種類の封筒が届いた。

中に入っていたのは、代理人弁護士からの文書だった。

離婚に向けた協議をしたい旨、記載されていた。

シーズン2に向けて

娘との面会が突然絶たれた理由。

そして、沈黙を破るように送りつけられてきた代理人弁護士からの文書。

ここから、私は再び法的な手続きの渦に巻き込まれ、見えない相手と対峙していくことになる。

愛する娘に会うため、そして自分自身の人生の決着をつけるため。

この「シーズン2」では、私がいかにしてこの戦いに立ち向かっていったのか。
絶望の中で何を考え、どう行動したのか。包み隠さず書き記していきたいと思う。

人生の後半戦、まだまだ平穏な日々は遠い。

だが、私は逃げない。

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