第二回口頭弁論
入廷して、わずか5分。
第二回口頭弁論は、それで終わった。
予定時間より30分早く、裁判所に着いた。
今回に限らず、約束や待ち合わせ時間の30分前には到着しないと気が済まない。
これは、学生時代からの習慣である。待つことは、好きである。
受付で事件番号と名前を伝え、法廷前の長椅子に座って待つ。
何を、どう話すか。
自分の言葉で、思ったとおり話せるだろうか。
頭の中で、何度も予行練習をした。
少しだけ緊張して、待っていた。
時間の5分前に入廷。試合開始だ。
今回の法廷は、中央に楕円形のテーブルが置かれていた。
すでに相手方代理人弁護士と、裁判所事務官が座っている。
どこに座っていいか、わからずに事務官に「どこに座ればいいですか?」と聞いた。
事務官は「あちらに」と言った。
私は相手方代理人と距離を取って座った。
目を合わせないように室内を見回していた。
時間になり、裁判官が入廷。
起立、礼、着席。
裁判官がこちらを見て、
「原告準備書面……証拠……ですね?」と口にした。
正直、よく聞こえなかった。
前回も聞き取りづらかったので、法廷の構造のせいかと思っていたが、
今回は違うと確信した。
この裁判官が、かなりボソボソ話すのだ。
聞き返す空気でもなく、裁判官に「・・ですね」
と言われたら、肯定だろうと思い、
私は「はい」とだけ答えた。
続いて裁判官は、相手方代理人に向かって、
「何かありますか?」と尋ねた。
代理人は即答で、
「ありません」と答えた。
そして、裁判官は淡々とこう告げた。
「次回、判決を言い渡します」
内心、驚いた。え、え、もう?
それが、正直な心の声だった。
もう、判決になるのか。
私は、ほとんど言葉を発していない。
これで判決。
裁判官は、さらに続けて、
「来てもいいし、来なくても結構です。終わります」
裁判官は、そう言い残し、席を立って法廷を後にした。
来なくてもいい?
よくわからないと思い、事務官に「来なかったら判決をどうやって知るんですか?」
「文書を送付します」事務官は言った。
入廷して、5分。
それで、すべてが終わった。
私は結局、「はい」の一言しか発していない。
これが、裁判か。1回目の時も感じたが、こんなものなんだ。
テレビでする、尋問なんかはあるはずなかった。
何かを主張する間もなく、判決と言われた。
入廷前の緊張を返してほしい。
そう思うほど、今回もあっさりした口頭弁論だった。
本人訴訟で感じたこと
本人訴訟というと、
「無謀」「不利」「素人が勝てるわけがない」
そんなイメージを持たれがちだ。
でも、実際に法廷に立ってみて思う。
必要以上に怖がるものではない、と。
裁判官は、感情を見ていない。
肩書きも、立場も見ていない。
見ているのは、
双方の主張と証拠が、ルールに沿って整理されているかどうか。
書面がすべて、とは言わない。
ただ、口頭弁論で何かをひっくり返すようなことは、ほとんど起きない。
裁判は、静かに書面で進んでいく。
あっさり終わる裁判に感じた不安
「こんなもので判断されるのか」
「ちゃんと伝わっているのだろうか」
第二回口頭弁論を終え、正直そんな不安はあった。
ただ同時に、
やるべきことは、もうやった。
という達成感もあった。
主張はすべて、書面に書いた。
その準備書面と証拠書類は、提出した。
あとは、裁判官の判断を待つだけ。
そう腹をくくるしかなかった。
おわりに
裁判は、人生のすべてではない。
判決は、誰かの価値を決めるものでもない。
それでも、自分で調べ、考え、書き、法廷に立った経験は、
確実に自分の中に残る。
次回は判決。
結果がどうであれ、この経験を無駄にはしないつもりだ。
私にとって、裁判は最終手段だった。
素人なりにできることは、すべてやってきた。
だから、自分が納得できればそれでいい。

